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執筆者の写真熊澤剛

はたらく不幸せの6つめの因子。



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幸せな家庭は似ているが、不幸せな家庭にはそれぞれの不幸がある。

                  トルストイ「アンナ・カレーニナ」

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幸福学の第一人者である慶応義塾大学の前野教授が提言する「はたらく不幸せ」

の条件を満たさない為に気を付けるべきの7つの因子について解説していきます。


6つめの因子は「疎外感」です。文字通りひとりぼっちです。

概念定義は、同僚や上司とのコミュニケーションにおいてすれ違いを感じ、職場での孤⽴を感じている状態とされています。


なお、尺度項目として以下が例示されています。

・私は、職場に気の合う仲間がいない

・私は、同僚と意思疎通できていないと感じる

・私は、上司と意思疎通できていないと感じる


こちらも前回の評価と並んで、意思疎通は組織にとっての普遍的な課題です。

HRproによる「社内コミュニケーションに関する調査結果報告(2020年)」では、コミュニケーション不足が業務の障害となっているかという質問に対して、95%もの企業が「大いにそう思う」「ややそう思う」と回答していました。


また、Covit-19により急激にリモートワークが進展したことで、何気ない日常会話が出来ないなどのコミュニケーション不全も話題となっています。


なぜ企業はコミュニケーション不足を脅威に挙げるのか?

企業は、それぞれの部署の人が持分の仕事を行うことで、チームとしてビジネスが成り立っています。

コミュニケーションが不足することは、情報伝達の不足や誤りなどの原因となり、ビジネスにマイナスに作用する為、これを課題と捉えているのです。

結果、企業においては、様々なコミュニケーション活性化策が投じられています。

1on1だったり、社内SNSだったり、お互いを褒め合うポイント制を導入したり。


もちろんそれらの工夫は良いことですが、働き手にとっての疎外感の解消に繋がるのでしょうか?

そもそも、疎外感はなぜ生じ、どのように不幸せに繋がるのでしょう。


疎外感は、充実した(楽しそうな)集団があり、自分はその集団から孤立していると感じた時に起こりやすいとされています。

飲み会に遅れて参加した為、みんなが盛り上がっているのに、自分だけ輪に入れなかった時の気持ちが分かりやすい例えになると思います。


また、以前に解説した「協働不全」の職場では、疎外感は感じないかもしれません。

そんな職場には、どこにも充実した集団がないからです。


疎外感は、充実した集団内の繋がりと、自分との繋がりの密度差を自覚した時に起こると考えることができるかと思います。

そう考えると、密度差をいかに薄めることができるかが、疎外感を軽減することに役立ちそうです。


・集団内の繋がりは、出来るだけ可視化してオープンにしておくこと

・飲み会の例えの通り、遅れて参加=中途入社者や新人には、これまでの経緯や

 背景など、既存のメンバーには既知のことも丁寧に教えてあげること


また、心理学者の宮下一博教授は、疎外感は4つの感覚に陥りやすいとしています。

・孤独感:一人ぼっちだな…寂しいな…という感覚

・空虚感:虚しい気持ちだな…やる気がでない…という感覚

・圧迫拘束感:排除されている…隅に追いやられている…という感覚

・自己嫌悪:自分はいなくなってもいい…自分には価値がないという感覚


コミュニケーション不足がもたらす最も大きな課題は、ミスコミュニケーションでもコミュニケーションロスでもなく、疎外感を持ったメンバーのパフォーマンスの低下であることが、ご理解いただけるものと思います。


引用︓パーソル総合研究所・慶應義塾⼤学前野隆司研究室

  :株式会社ダイレクトコミュニケーション

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